
インドネシアのEC参入ガイド|市場分析・人気の商材・プラットフォームを解説
インドネシアは、人口約2億7,000万人を誇る東南アジア最大の市場であり、経済成長率の高い新興国です。近年ではスマートフォンの普及とECプラットフォームの成長が加速し、日本から商品を直接販売する越境ビジネスが急速に広がっています。
特に化粧品や健康食品、ファッション、文房具、ハラール対応商品など、日本製品は品質の高さから高い支持を得ています。一方で、関税や認証制度、物流の遅延、決済方法の多様化など、インドネシア特有の課題も少なくありません。
この記事では、インドネシア市場の基本情報から、人気プラットフォーム、売れる商品、法律や物流のポイント、マーケティング戦略までを詳しく解説します。これからインドネシアに進出したい事業者の方はぜひご覧ください。
1. インドネシアの市場・消費者の特徴は?
インドネシアは、人口規模・経済成長・EC市場の拡大スピードという3つの要因が重なり、越境ECの有望市場として注目されています。

人口
日本貿易振興機構(JETRO)によると、インドネシアの人口は2025年時点で2億8,444万人に達し、世界第4位の人口大国です。人口の半数以上は30歳未満で、平均年齢は約30歳と若く、生産年齢人口の比率が高い「人口ボーナス期」にあることが、消費市場としての将来性を支えています。 (参照:JETRO|インドネシア概況・基本統計)
経済
市場調査会社Mordor Intelligenceによると、インドネシアのEコマース市場規模は2024年時点で818億米ドルに達し、2029年には1,681億米ドルまで拡大すると予測されています(年平均成長率15.5%)。インドネシアのEC流通総額は、ASEAN全体の5割以上を占めるとされており、成長市場となっています。 (参照:Mordor Intelligence|インドネシアの電子商取引市場規模)
消費者傾向
インドネシアの消費者は、SNSを情報収集や購買のきっかけとして積極的に活用しています。
We Are SocialとMeltwaterの調査(2025年11月発表)によると、SNSユーザー数は前年比26%増の1億8,000万人(総人口の62.9%)に達し、1人あたり平均週21時間50分利用しています。プラットフォーム別ではWhatsAppが月間利用率9割で最多、TikTokも1日1時間53分と拮抗した利用時間があります。 (参照:We Are Social|Digital 2026: Indonesia)
ブランド発見の経路は検索エンジンが38.3%、SNS広告経由(37.3%)と続き、5人に3人がブランドリサーチの主要チャネルとしてSNSを使っています。 (参照:epilogcreative|Social Media Trends in Indonesia 2026)
2. 主要ECプラットフォームの特徴
Mordor Intelligenceによると、Shopee・Tokopedia・Lazadaの3社でインドネシアEC市場シェアの80%以上を占めています。中でもShopeeは自社物流と地域出品者基盤を軸に約48%のシェアを維持しています。 (参照:Mordor Intelligence|インドネシアの電子商取引市場規模)
Shopee(ショッピー)
東南アジア全域で急成長しているモールで、インドネシア国内でも利用者数・シェアともに最多です。UIがシンプルで、モバイルアプリからの購入比率が高く、割引キャンペーンを頻繁に実施するため若年層からの支持が厚いのが特徴です。
Tokopedia(トコペディア)
インドネシア発の大手ECモールで、幅広い商品カテゴリーをカバーしています。2024年1月、TikTok Shop Indonesiaの事業がPT Tokopediaのもとで正式に統合され、出品者はTokopediaとTikTok Shopの店舗を1つの管理画面から運営できるようになりました。統合後は月間アクティブユーザーが1億人を超え、ショート動画を活用したライブコマースで若年層への訴求力も高めています。 (参照:kakemochi|インドネシア最大級のECプラットフォームTokopediaとは)
Lazada(ラザダ)
中国アリババグループ傘下のプラットフォームで、複数国への同時展開が可能です。越境EC向けのサポートが充実しており、在庫や配送の一元管理がしやすい点が特徴で、ファッションや家電、生活雑貨で強い存在感を持っています。
その他注目モール
Bukalapakは地方市場への強いネットワークを持ち、Blibliは中高所得層をターゲットとした高価格帯商品の販売に向いています。
3. インドネシアで需要が高まる日本製品カテゴリー
インドネシア向けの日本製品輸出は、カテゴリーによって明暗が分かれています。ここでは、公的統計や公的機関の一次情報で裏付けが取れるカテゴリーに絞って紹介します。
農林水産物・食品(特に水産物)
財務省貿易統計を基にしたJETROのデータによると、2025年の日本からインドネシア向け農林水産物・食品の輸出額は172億5,599万円で、前年比35.5%増と過去最高を記録しました。品目別では、いわし(前年比+1,941.0%)、たら(+109.0%)、かに冷凍(+123.0%)、ホタテ貝(+57.4%)、緑茶(+81.8%)、牛肉(+51.2%)など、水産物を中心に大幅な伸びがみられます。 (参照:JETRO|インドネシアに浸透する日本食レストランの現状)
これには、インドネシア内の日本食レストラン数が急増している背景があります。農林水産省の調査では、2025年時点でインドネシアの日本食レストラン数は6,580店に達し、前回調査(2023年)から2,580店増と、調査対象国・地域の中で世界最大の増加数を記録しました。やよい軒、いきなり!ステーキ、スシロー、てんやなど、日系外食チェーンの進出も相次いでいます。
アニメ・キャラクターグッズ
JETROの公式ビジネス番組「世界は今 -JETRO Global Eye」(2025年12月放送)では、インドネシアで日本のアニメ・マンガ関連グッズが「飛ぶように売れている」と報じられました。ONE PIECEの公式カフェなど、正規ライセンス商品への関心が高まっていることも紹介されています。 (参照:JETRO|日本のコンテンツに熱狂!? 本物志向に変わるインドネシア)
市場調査会社Global Market Insightsも、アジア太平洋地域のアニメグッズ市場の成長要因として、インドネシアにおける若年層のアニメ消費の定着と可処分所得の増加を挙げています。ただし、模倣品・海賊版の流通が成長の抑制要因になっている点も指摘されており、正規品であることの訴求が重要です。 (参照:Global Market Insights|アジア太平洋地域のアニメグッズ市場)
また、関連する製品として、カプセルトイの株式会社funboxは、現地生産で流通体制を整え、市場開拓に成功しています。(参照:JETRO|株式会社funbox活用事例)
化粧品・美容用品(一部カテゴリーに限定)
化粧品については、実態を正しく理解しておく必要があります。JETROのデータによると、日本からインドネシアへの化粧品類の輸出額は2018年の3,541万ドルをピークに減少を続け、2023年には1,830万ドルまで落ち込みました。2024年はわずかに回復(1,938万ドル、前年比+5.9%)したものの、中国・韓国製品が輸入額シェアの過半を占める厳しい競争環境にあります。 (参照:JETRO|インドネシアの化粧品市場の動向)
その中でも、日焼け止めや洗顔料は比較的好調なカテゴリーとされています。現地進出企業へのJETROインタビューでは、「サラサラとした質感や美白イメージが消費者に好意的に受け止められている」との声があり、EC経由の販売額も前年比10%程度伸びています。 (参照:JETRO|インドネシアの化粧品市場の動向)
ハラール対応商品
イスラム教徒が人口の大多数を占めるインドネシアでは、ハラール認証を取得している商品が安心して選ばれます。特に食品・化粧品では、ハラール対応が購買の決め手になります。詳しい認証スケジュールは次章で解説します。
福岡県の化粧品メーカー「愛しとーと」は、コスモビューティ・インドネシアに出展し、ハラール対応を経営課題に位置づけています。一部商品で日本ハラール認定推進機構(JHCPO)の認証を取得済みで、現在はBPJPH認証の取得も進めています。 (参照:JETRO|インドネシア最大の美容関連展示会「コスモビューティ」)
4. 参入前に確認すべき法規制
インドネシアでビジネスを行う場合、事前に法律や規制を理解しておくことが必須です。特に食品や化粧品、健康食品は認証や許可がなければ販売できないケースが多く、違反すると罰金や販売停止のリスクがあります。
BPOM認証
インドネシア向けに食品、飲料、医薬品、化粧品などを販売する場合、インドネシア国家食品医薬品監督庁(BPOM)の認証が必要です。
例えば、化粧品なら現地の輸入業者(NIB/API-UまたはAPI-Pを保有する事業者)から代理店指名を受け、その輸入業者がBPOMに届出を提出する構造になります。
加工食品も同様で、現地輸入者が原産国企業(=日本の自社)からの指名書(公証・在外公館認証付き)を持ってOSSシステム経由でBPOMに商品登録します。
したがって、自社ECのインドネシア展開を行う事業者側の実務は「信頼できる現地輸入パートナーを見つけて、必要書類を英訳・認証付きで揃えて渡すこと」が中心になります。
(参照:JETRO|清涼飲料水の輸入規制、輸入手続き、化粧品の現地輸入規則および留意点:インドネシア向け輸出)
ハラール認証制度
インドネシアでは、ハラール認証の義務化が段階的に進んでいます。日本から輸出する加工食品・化粧品は、2026年10月17日までにハラール認証を取得できていなければ、インドネシア国内での流通に支障が出る可能性があります。
日本の事業者本人が認証を申請することはできず、インドネシア現地の輸入者または公認代理人が行う必要があります。日本の事業者の対応は以下の3点です。
①現地の輸入パートナー(または代理人)を確保する。
②原材料表・製造工程書類・GMP等の証明書を英訳して提出
③必要に応じて工場監査に対応する
①の相談先に関しては、現地の知見が豊富なJETROがおすすめです。原材料の見直しからMUI(インドネシア・ウラマー評議会)のファトワ発行まで含めると、申請から取得まで半年〜1年程度を見込むのが一般的です。
| 対象カテゴリー | 義務化期限 |
|---|---|
| 食品・飲料・食肉処理(インドネシア国内の中規模・大規模事業者) | 2024年10月17日(施行済み) |
| 輸入食品、化粧品、天然由来医薬品・準医薬品・健康補助食品、化学製品、遺伝子組換え製品、衣料品・アクセサリー、家庭用品、礼拝用品、文房具・事務用品、リスククラスAの医療機器、国内零細・小規模事業者の食品・飲料 | 2026年10月17日 |
| 一般用医薬品(OTC)・限定販売一般用医薬品、リスククラスBの医療機器 | 2029年10月17日 |
| 向精神薬を除く処方箋医薬品、リスククラスCの医療機器 | 2034年10月17日 |
対象カテゴリーで販売する場合は、認証取得までにおよそ1年程度かかることを見込み、早めに準備を進めることをおすすめします。
関税・輸入規制
インドネシアは一部の商品に高関税を課しており、輸入コストが価格競争力に直結します。輸入禁止品目や数量制限のある商品もあるため、事前に貿易関連の規制を確認しましょう。
現地法人設立の要否
継続的かつ大規模な販売を行う場合は、現地法人の設立が求められることがあります。
インドネシアでは2021年のオムニバス法により、外資規制の仕組みが従来の「ネガティブリスト」から「ポジティブリスト」に移行しました。業種ごとに外資出資比率の上限が定められており、たとえば卸売業は上限67%、小売業の一部業種は外資100%が可能など、分野によって条件が異なります。事前に該当業種の規制を確認し、専門家のサポートを受けながら検討するのが安全です。 (参照:axiamark|インドネシアの外資規制を解説)
5. 物流・配送・決済の課題と対策
インドネシア市場における物流・配送・決済の課題は、地理的条件とインフラ格差に起因するものが中心です。
配送コストとリードタイム
インドネシアは約17,000の島々から構成されており、都市部から離れた地域への配送は時間もコストもかかります。自社で配送まで行う場合は、航空便と海上便の使い分けや、現地フルフィルメントセンターの活用が効率化の鍵となります。
現地配送網の特徴
都市部は宅配インフラが比較的整っていますが、地方では配送スピードや追跡機能が限定的な場合があります。自社で配送を行う場合は、現地配送業者(JNE、J&T Expressなど)と連携し、信頼性とカバー範囲を確保しましょう。
主流の決済方法
インドネシアではクレジットカードの普及率が約7%と低く、代金引換(COD)や銀行振込、eウォレット(OVO、GoPay、DANAなど)が主流です。統一QRコード規格「QRIS」の2024年の利用者数は5,050万人に達し、前年比226.54%増と急速に普及しています。複数の決済手段を用意することで、購入のハードルを下げられます。 (参照:Wise|インドネシアでキャッシュレスは使える?)
越境EC物流サービスの活用
DHLやFedExといった国際物流企業に加え、ShopeeやLazadaなどのプラットフォームが提供する越境配送サービスも活用できます。配送コストの抑制や通関手続きの簡略化が期待できます。
6. 現地に合わせたマーケティング戦略
インドネシア市場では、消費者が商品を知ってから購入するまでの導線設計が重要になります。SNSでの情報収集が多いため、インフルエンサーとの連携や動画によるプロモーション、ライブコマースが有効です。
SNSの活用
プラットフォーム別の広告到達可能ユーザー数は、TikTokが成人人口の88.9%(約1億8,000万人)、YouTubeが1億5,100万人、Facebookが1億2,100万人、Instagramが1億800万人となっており、認知獲得から購入まで、SNSを組み込んだ設計がほぼ必須の市場です。 (参照:arfadia|Indonesia Digital Marketing Benchmark 2026)
ライブコマース:TikTok Shopがけん引する購買行動
インドネシアでは、SNS上での発見から購入までを一気通貫で行うライブコマースが、主流の購買スタイルとして定着しつつあります。TikTok Shopの2025年GMVは131億米ドルに達し、米国に次ぐ世界第2位の市場となっています。 (参照:TechNode Global|TikTok’s Southeast Asia doubles GMV year-on-year to $45.6B in 2025)
また、インドネシアのTikTok Shop売上の約80%がライブ配信経由です。ライブショッピング視聴の理由は「割引・プロモーション」(71%)、「より安い価格」(66%)、「販売者と直接やり取りできる」(65%)が上位を占めており、インドネシア進出の際はライブコマースの設計が重要になっています。ライブ配信では、割引訴求で視聴者を集め、実演と質疑応答で「販売者との対話」を演出する構成が定番です。また、現地インフルエンサーとの提携も効果的と言われています。
また、TikTok Shopインドネシアでは、女性衣料、美容・パーソナルケア、家庭用品、食品・飲料、ムスリム衣料が上位カテゴリーとなっています。
(参照:Katadata|80% Penjualan di TikTok Shop Indonesia via Live Streaming、GoodStats|Diskon Jadi Alasan 71% Pengguna E-Commerce Indonesia Menonton Live Shopping、CNBC Indonesia|Setahun Gabung, Tokopedia TikTok Shop Klaim Punya 200 Juta Pengguna)
7. まとめ|インドネシア進出を成功させる3つのポイント
インドネシアは、人口規模・経済成長率・デジタル化のスピードが揃った成長市場です。以下の3つのポイントを押さえて、進出計画を検討しましょう。
認証制度への早めの対応
BPOM認証やハラール認証の対象カテゴリーと義務化時期を確認し、取得を進めましょう。
プラットフォームと商品カテゴリーの選定
Shopee・Tokopedia・Lazadaそれぞれの特徴を踏まえ、現地で需要の高いカテゴリーで小規模なテスト販売から始めましょう。
SNS・ライブコマースの活用
認知はInstagramなどのSNSで認知を獲得し、購買はTikTok Shopのライブコマースとインフルエンサーとの連携で受け止める設計を意識しましょう。
Indonesia, with a population of around 270 million, is a rapidly growing market for cross-border e-commerce, particularly for high-quality Japanese products like cosmetics, health foods, and fashion items. The rise of smartphone usage and e-commerce platforms has accelerated this trend. However, challenges such as customs regulations, certification systems, and logistics must be navigated. Key players in Indonesia's e-commerce landscape include Shopee, Tokopedia, and Lazada. Effective marketing strategies leveraging social media and live commerce are essential for success.




