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インバウンド需要を越境ECにつなげる最新戦略ガイド

Published On: 2026-08-18|Last Updated: 2026-09-25|Tags: , , |Categories: 特集, 戦略・ノウハウ, 海外進出支援|By |

インバウンド需要とは、訪日外国人観光客が日本国内で行う消費活動全般を指します。
2025年の訪日外国人旅行者数は4,268万人と過去最高を更新し、旅行消費額も9兆4,559億円(前年比+16.4%)と過去最高を記録しました。(参照:JNTO|訪日外客統計/観光庁|訪日外国人消費動向調査)

あわせて、「日本旅行中に出会った商品を帰国後も購入したい」というニーズに応える越境ECの利用も拡大しています。訪日体験をきっかけに海外顧客を長期的なファンへとつなげられる越境ECは、インバウンド効果と組み合わせることで、単発の消費を継続的な売上へと育てる強力な手段となります。

本記事では、インバウンドと越境ECの関係性や、SEOを意識した集客手法、サイト構築のポイント、現地対応のローカライズ戦略、そして実際の成功事例まで、越境ECを軸に売上とブランドを育てるための具体的な方法を紹介していきます。

目次

1. 訪日客が帰国後に越境ECを使う理由は?

訪日客にとって、「自国で買えない商品である」という特別感や、訪日時に実際に商品を体感した経験が越境ECでの購入を後押しする傾向があります。

日本観光を楽しむ訪日観光客のグループ

実際に、BEENOSの調査によると、外国旅行中に購入した現地の商品やブランドを帰国後に越境ECで再度購入した経験者は44.0%。越境ECで再度購入した理由として以下3つを挙げています。
(参照:BEENOS|越境ECの利用意向に関する意識調査)

  1. 自国で買えないため(60.0%)
  2. ブランドやショップのファンになった(45.6%)
  3. 商品が気に入った(39.9%)

このような「訪日→体験・購入→帰国後の継続購入」というサイクルが存在する中、越境ECを整備することで自社に好意を持っている訪日客を直接取り込むことができます。

2.インバウンド×越境ECに今取り組むべき理由は?

インバウンド客数・消費額ともに過去最高を記録している今は、訪日客の越境EC導線を整備する最良のタイミングです。理由は主に2つあります。

1. 円安によるインバウンド拡大

大幅な円安が続く現在、海外から見ると割安な日本製品は越境ECでの購入障壁が下がっています。特に海外ファンの多いアニメグッズや、抹茶・日本茶などの日本ならではの食品、キャラクター雑貨などは「日本でしか手に入らない」という付加価値からリピート購入につながりやすい商材です。前章で紹介したとおり、訪日客数が過去最高を更新している今は、こうした訪日中の購入体験を持つ見込み客の母数自体が増えているタイミングでもあります。

2. 越境ECの参入障壁が大幅に下がっている

かつては多言語対応・海外決済・国際配送の整備に多大なコストがかかりましたが、現在は既存の国内ECサイトに数行のタグを追加するだけで海外販売を始められるサービスも登場しています。インバウンドで構築したブランド力を活かして、低コストで越境ECをスタートできる環境が整っています。

これから越境ECを始める方は、以下の参入ガイドも併せてご覧ください。
【2026年】越境EC参入ガイド|準備~開始のプロセスを徹底解説

3. 帰国後の訪日客を起点とした「連鎖消費」とは?

訪日客自身のリピート購入以外にも、重要な消費行動があります。訪日客が購入した観光土産を受け取った人が、その商品を気に入って自らも購入し、さらにその周囲へと消費が広がっていく「連鎖消費」です。インバウンドの効果が訪日客本人にとどまらず、帰国後に第三者へと波及する点が、越境ECと組み合わせる際に特に重要な視点となります。

桃山学院大学・辻本法子教授が中国人の観光土産の受け手825人を対象に行った研究では、以下のことが明らかになっています。(参照:辻本法子|訪日外国人による越境ECでの観光土産のリピート購買(連鎖消費)の可能性について)

  • 観光土産の受け取り手のうち、約50%が自ら同じ商品を購入(連鎖消費)。うち約49%が日本からの越境ECを利用。
  • 訪日経験「あり」は60.2%が連鎖消費を実施するのに対し、「なし」では34.9%
  • 訪日経験・ブランド認知の両方がある受け手は70%が連鎖消費を実施。
  • 越境ECを利用した理由の上位は「取引の安全性(偽物が少ない)」83.3%、「商品品質が良い」77.8%と、日本製品への信頼が主な購買動機に。
  • 訪日経験とブランド認知の両方がある受け手はSNSでの情報発信率も高く、口コミの拡散起点になる傾向がある。

この研究が示すように、インバウンドへの投資は「来店した顧客の売上」だけでなく、その先の連鎖消費まで見据え、配りやすいサイズ感や独自のパッケージ、紹介クーポンの同封などでさらなる効果が見込めます。

4. インバウンド顧客を越境ECへつなぐ具体的な施策は?

訪日中の顧客に「帰国後も購入できる場所」を確実に伝える施策が、越境ECでのリピート購入につながります。以下にて具体的な施策と事例を紹介します。

「旅ナカ」での直接発送サービスを導入する

「購入した商品を旅行中に持ち歩きたくない」という訪日客の悩みを解決するのが「旅ナカ」支援と呼ばれる、店舗から直接海外へ免税配送するサービスです。

例えば、DHLとハコボウヤが提供する「ハコボウヤDHL」は、顧客がスマートフォンでQRコードを読み取り配送情報を入力するだけで、店舗から直接自国へ発送できます。荷物を気にしなくてよいため、購入単価の向上も期待できます。商品を無事に受け取れたという安心感が、次回以降のリピート購入への信頼にもつながります。 (参照:DHL|インバウンド向け越境EC・免税発送サービス)

QRコード付きショップカードを配布する

越境ECサイトへのQRコードを印刷したショップカードは、帰国後やホテルで見返すきっかけにもなります。訪日客層に合わせて多言語で制作するのが望ましく、「海外向けオンラインストアはこちら」という一言を多言語で添えることが重要です。捨てられないよう、QRコード入りのノベルティを配布するのも有効です。

ディスカウントストアの多慶屋では、「帰国後のリピートにもっとも効果があった施策は紙のチラシだった」と担当者が語っており、ECサイトのURLとQRコードを印刷したチラシを店頭で配布しています。 (参照:ECzine|多慶屋インタビュー)

SNSアカウントへの誘導とフォロー促進

ショップカードや口頭で、InstagramなどのSNSアカウントを案内しましょう。フォローしてくれた方にはおまけをプレゼントする、割引するなど即時的なメリットを提供するのが有効です。フォロワーになった顧客には、帰国後も情報を届けられるため、越境ECへの継続的な誘導が可能になります。

アパレルブランド・AYANOKOJIは、インバウンド回復期にSNS活用と越境ECを組み合わせた施策を展開し、帰国後のリピート購入につなげています。 (参照:ECzine|AYANOKOJI インバウンド×越境EC施策)

店舗スタッフによる一声の声かけ

上記の施策をどれだけ整備しても、スタッフが案内しなければ顧客の目に触れない場合があります。「帰国後もオンラインでご購入いただけます」という一言やショップカードを渡すなどの導線をを接客の中に組み込みましょう。多言語対応のスクリプトがあれば語学に不安のあるスタッフでも対応しやすくなります。

神戸の酒蔵では、日本語学校の学生を採用して多言語接客を実現し、酒造り体験と組み合わせた「ここでしかできない体験」の提供が訪日客のSNS投稿と帰国後の越境EC購入につながっています。 (参照:世界へボカン|インバウンド客を越境ECへ引き上げる方法)

5. まとめ|インバウンド需要を越境ECにつなげる3つのポイント

帰国後の越境EC利用への導線を設計することが、インバウンド×越境ECのポイントとなります。以下の3つを軸に今後の施策を検討しましょう。

  • 店舗での越境EC誘導
    QRコードの設置・多言語フライヤーの配布・スタッフの接客など、訪日中の接点を帰国後の購買につなげる設計を行いましょう。

  • 連鎖消費を見据えた施策
    お土産の受け手にも購買が波及する「連鎖消費」を踏まえ、配りたくなるような独自性のあるパッケージや、紹介クーポンの同封などを取り入れましょう。

  • SNS誘導とフォロー促進
    帰国後の接点となるSNSに誘導するために、即時的なメリットとなるノベルティや割引キャンペーンを取り入れましょう。

この記事を書いた人

山口 綾乃

関西学院大学にて日本語学・キャッチコピーを専攻後、クリエイティブエージェンシーにて住宅設備・照明・リフォーム業界の販促企画・制作に従事。コピーライター・クリエイティブディレクターの実務で培った編集・調査力、コンテンツマーケティングの知見を掛け合わせた記事制作を行う。

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