
【2026年版】越境ECのトレンド総まとめ|今後どう変わる?
越境ECを始める事業者は年々増えている一方、市場環境や消費行動、活用されるテクノロジーは年々変化しており、これまでの常識や成功パターンが通用しなくなりつつあります。
このような変化の多い時代だからこそ、現在のトレンドや社会的な背景を知り、海外販売戦略に反映させていくことが重要になっていきます。
本記事では、越境ECの全体像から、2026年のトレンドや今後の戦略で押さえておくべきポイントを解説します。
1. 2025〜2026年 越境EC市場の全体像
2025年から2026年にかけて、越境EC市場は引き続き拡大傾向にあります。ECそのものは多くの国で成熟期に入りつつありますが、海外の商品をオンラインで購入する行動は一般化し、消費者にとって特別なものではなくなりました。自国では手に入らない商品や、信頼できる海外ブランドを選ぶ動きが強まり、越境ECは日常的な購買手段のひとつとして定着しつつあります。
経済産業省の調査によると、2024年の中国消費者による日本事業者からの越境EC購入額は2兆6,372億円(前年比8.5%増)、米国消費者による日本事業者からの越境EC購入額は3兆1,397億円(前年比6.0%増)で、いずれも前年から増加しました。
(参照:経済産業省|令和6年度電子商取引に関する市場調査)
成長をけん引する地域と市場の特徴
北米や中国、欧州といった主要市場に加え、東南アジア、中東、中南米などの新興市場が存在感を高めています。これらの地域ではスマートフォンの普及率が高く、モバイルを前提としたEC利用が主流です。消費者はSNSや動画コンテンツを通じて商品を知り、そのまま購入に至るケースも増えており、情報接触から購買までのスピードが加速しています。
日本企業の参入が広がる背景
日本企業による越境ECへの参入は、大企業だけでなく中小企業やD2Cブランドへと広がっています。背景には、EC構築ツールや海外配送、決済、翻訳などの周辺サービスが整い、専門知識がなくても取り組みやすくなったことがあります。
ジェトロの調査では、海外向け販売でECを活用または検討している企業のうち、43.0%が「越境EC」を選択しており、特に中小企業では4割超を占めています。EC利用経験がある企業の割合も、大企業の34.9%に対し中小企業は42.2%と、中小企業の取り組みが上回っています。
(参照:ジェトロ|2024年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査)
初期投資や運用負荷を抑えながら海外販売を始められる環境が整ったことで、越境ECは現実的な選択肢として検討されるようになっています。
市場拡大とともに高まる競争環境
市場が拡大する一方で、競争は確実に激しくなっています。海外向けに商品を並べるだけでは埋もれてしまい、価格や知名度、レビュー数で優位に立つ企業が目立つようになっています。そのため、どの国・地域を狙うのか、どの販売チャネルを選ぶのかといった戦略設計が、成果を大きく左右する要素となっています。
外部環境の変化が与える影響
為替の変動や国際物流コスト、各国の法規制など、越境ECを取り巻く外部環境も不安定さを増しています。円安は価格競争力を高める一方、輸送費の高騰や通関手続きの複雑化といった課題も無視できません。短期的な状況に左右されない視点で市場を捉えることが、2026年以降の越境ECを考えるうえで重要になっています。
2.【2026年版】越境ECの最新トレンド
越境ECではオンラインとオフライン、複数の販売チャネルを分断せずに統合する考え方が定着しつつあります。自社ECやECモール、SNS、実店舗、インバウンド施策などを個別に運用するのではなく、顧客データや在庫、購買履歴を一元管理し、どの接点からでも一貫したブランド体験を提供する動きが広がっています。海外の消費者にとっても、接点ごとに情報や対応が異なるブランドより、統一感のある企業のほうが信頼されやすくなっています。このように、ユニファイドコマースの考え方は越境ECにおいて主流になりつつあります。
AI活用が「競争力」に直結
AIの活用は、2026年には補助的なツールではなく、越境ECの競争力を左右する要素になっています。AIを用いた翻訳システムや在庫連携システム、購買データをもとにしたレコメンド、チャットボットによる多言語対応のカスタマーサポートなど、すでに実用段階に入っている領域も増えています。単なる業務効率化ではなく、売上向上や顧客満足度の改善につながる形でAIを活用できているかどうかが、企業間の差を生み出しています。
ソーシャルコマースとライブコマースの定着
SNSを起点とした購買行動が中心となり、動画コンテンツやライブ配信を通じて商品を知り、その場で購入する「ソーシャルコマース」「ライブコマース」が多くの国で定着しています。特に商品のストーリー性やリアルな使用感が伝わるコンテンツが重視される傾向が強まっています。
モバイル前提の設計とローカライズの重要性
越境ECにおけるユーザー体験は、完全にモバイル前提へと移行しています。ページ表示速度や操作性、決済のしやすさは、購買率に直結する要素です。また、言語を翻訳するだけではなく、通貨、配送方法、表現、価値観などを含めたローカライズが求められています。現地の消費者視点に立った設計ができているかどうかが、成果を左右する重要なポイントになっています。
越境ECとインバウンド施策の連動
観光庁とJNTOの発表によると、2025年の訪日外国人旅行者数は4,268万3,600人(前年比15.8%増)、訪日外国人旅行消費額は9兆4,559億円(前年比16.4%増)と、いずれも過去最高を更新しました。
(参照:JNTO|訪日外客数/観光庁|インバウンド消費動向調査)
訪日外国人の増加を背景に、インバウンドと越境ECを連動させる動きも広がっています。日本滞在中に商品を知り、帰国後にECで再購入する、あるいはSNSを通じてブランドを継続的にフォローするといった流れが生まれています。越境ECを単独の施策として捉えるのではなく、リアルな接点と組み合わせて考えることで相乗効果が高まります。
詳しくはこちら:インバウンド需要を越境ECにつなげる最新戦略ガイド
環境配慮・サステナビリティへの意識の高まり
環境への配慮やサステナブルな取り組みは、海外市場における重要な評価軸のひとつになりました。商品の素材や製造背景、包装、配送方法に対する情報開示が、購入判断に影響を与える傾向が高まっています。単なるイメージ戦略ではなく、実態を伴った取り組みが求められる時代になっています。
詳しくはこちら:サステナブルECとは? 注目理由や海外向け戦略、すぐ取り組める施策を解説
3.越境ECで成果を出している企業の共通点
越境ECで成果を上げている企業に共通しているのは、最初から広い市場や複数の国を同時に狙わない点です。限られた国や地域、商品に絞ってテストを行い、反応を見ながら改善を重ねています。市場調査や仮説検証を段階的に進めることで、コスト面のリスクを抑えています。
「売る」よりも「理解する」姿勢を重視
価格や機能だけでなく、なぜその商品が選ばれるのか、どのような価値が評価されているのかを丁寧に分析する姿勢が重要になります。現地の文化や習慣、購買行動に目を向けた情報設計やコンテンツづくりが、結果として信頼につながっています。
データを活用した改善サイクルが回っている
「この商品は売れそうだ」という感覚や経験だけに頼らず、データをもとに意思決定を行っています。アクセス状況や購入率、離脱ポイントなどを定期的に確認し、商品ページや導線、価格設定を見直しています。小さな改善を積み重ねることで、継続的な成果につなげています。
社内だけで抱え込まない体制づくり
越境ECは、物流、決済、言語対応、マーケティングなど、多くの要素が絡み合います。成果を出している企業ほど、すべてを自社だけで完結させようとせず、外部パートナーや専門サービスを適切に活用しています。自社の強みに集中し、それ以外は任せる判断が、スピードと安定性を高めています。
「越境EC会議2026」のイベントレポートにて詳しく解説しておりますので、合わせてご覧ください。
越境EC会議2026|イベントレポート後編
中長期視点でブランドを育てている
短期的な売上だけを追うのではなく、海外市場でのブランド認知や信頼構築を重視している点も共通しています。価格競争に巻き込まれるのではなく、自社ならではの価値やストーリーを継続的に発信することで、リピーターやファンを増やしています。この積み重ねが、結果として安定した越境EC事業につながっています。
4. まとめ|2026年の越境ECで成果を出すために押さえておきたい3つのポイント
以下の3つのポイントをふまえ、市場環境の変化をとらえながら戦略を立てましょう。
- 市場環境の変化を継続的に把握する
為替や国際物流コスト、各国の規制、消費者の購買行動は短期間で変化します。情報のアップデートを怠らず、常に最新動向を踏まえた判断を行いましょう。 - 顧客体験全体を見据えた戦略設計を行う
ユニファイドコマースやAI活用、モバイル前提のローカライズ、インバウンドとの連動など、2026年のトレンドを踏まえ、販売チャネルを横断した一貫性のある顧客体験を設計しましょう。 - データに基づく改善と外部パートナーの活用
限られた市場・商品でテストを重ね、データをもとに改善サイクルを回すとともに、自社だけで抱え込まず外部パートナーを適切に活用しながら、中長期的にブランドを育てていきましょう




