韓国向け越境EC、事業者番号の登録義務化 必要書類は日本企業なら原則2点

韓国向けEC「事業者番号」登録義務化、猶予期限は26年12月末|日本の事業者が今すぐ確認すべきポイント

Published On: 2026-09-28|Last Updated: 2026-09-28|Tags: , , |Categories: 特集, 規制・関税|By |

韓国税関(KCS)は、改正関税法に基づき、韓国向けに越境EC貨物を発送する事業者を対象とした「電子商取引事業者番号」の登録制度を2026年6月5日に導入しました。登録や情報連携ができない貨物は、デミニミス基準(少額免税の基準)を満たす貨物に認められる簡易な通関手続の対象外となり、正式な輸入申告が必要になる。の適用猶予は2026年12月31日までで、これを過ぎると未対応の貨物は正式通関の対象になり得ます。当サイトの調べでは、国際宅配大手FedExが通達してきた「必要書類」には韓国国内事業者向けのものが混在しており、日本企業など海外事業者が実際に用意すべき書類は原則2点にとどまります。そこで、制度の全体像と、越境ECで韓国向けに販売・配送している日本企業が実際に確認すべきポイントを整理します。

対象事業者は「番号登録」が義務 ‐ 既存登録者も再登録が必要

韓国税関は、改正関税法第254条の規定を現場に適用するため、越境EC貨物を扱う事業者を対象とした「電子商取引事業者番号」の新規登録制度を2026年5月28日付で公表しています。国境を越える電子商取引物品の供給網を体系的に管理し、通関秩序を確立することが目的とされています。

これは任意の制度ではありません。関税庁の発表は、以前から購入代行業者や電子商取引事業者として登録していた事業者も含め、対象者に「新システムでの再登録を義務」として明記しています。既存の登録がある事業者も、あらためて手続きが必要になる点に注意が必要です。

対象となる事業者は3類型 ‐ 自社サイトかモール出店かで判断が変わる

登録の対象は、次の3類型に整理できます。

事業者の類型具体例
海外の越境ECモール運営者自社ECサイトを運営し、韓国向け配送に対応している日本企業など
韓国内の購入代行・販売仲介事業者韓国内でサイバーモールを運営、または出店して越境EC商品の購入代行・販売仲介を行う事業者
配送代行事業者韓国向け越境EC貨物の国際転送・配送代行を行う国内外の事業者

日本企業が確認すべきなのは「韓国へ商品を送っているかどうか」だけではありません。自社サイトで直接販売しているのか、モールに出店しているだけなのか、購入・配送代行を利用しているのかによって、登録すべき主体が変わります。モール運営者や配送会社に、自社の取引では誰の事業者番号が申告されるのかを確認しておくと安心です。

登録システムは6月に稼働済み、通関プラットフォームは8月に試験運用入り

制度の導入は段階的に進んでいます。これまでの動きを時系列で整理すると、以下の通りです。

時期内容
2026年5月28日韓国税関が制度導入を公式発表
2026年6月5日専用登録システムの運用開始(受付済み)
2026年8月28日越境EC専用通関プラットフォームの試験運用開始
2026年12月31日リスト通関(デミニミス)を認める猶予期間の終期

専用通関プラットフォーム(UNIPASS)は当初8月15日の開通が予定されていましたが、実際には8月28日に試験運用が始まり、安定化を経て年内の正式開通を目指す段階にあります。登録して発給された事業者番号は、このプラットフォームで使用される予定です。

猶予期限26年12月末を過ぎるとどうなるか

FedExの案内によると、対象事業者が登録を済ませていない場合や、顧客・取引情報を税関へ電子的に提出できない場合、当該貨物は個人間(C2C)取引として扱われます。この場合、簡易な目録通関(デミニミス)の対象から外れ、正式な輸入申告手続きが必要になるため、通関や配達に遅れが生じる可能性があるとされています。

ここで誤解しやすいのは、この扱いを受けるのは登録・情報連携ができていない貨物に限られるという点です。対応済みの事業者の貨物が一律に検査対象となったり、2027年以降すべての韓国向け貨物の通関が厳格化したりするという記載は、公式発表には見当たりません。猶予期間である2026年12月31日までは、未対応の場合でも従来通りのデミニミス通関が引き続き認められています。過度に危機感をあおる表現には注意し、「未対応の貨物が正式通関の対象になり得る」という制度上の帰結として理解するのが適切です。

海外事業者の必須書類は2点のみ 韓国内向けの3点は不要

FedExが顧客向けに案内している必要書類には、次の5点が並んでいました。

  • 通販業務登録証明書
  • インターネットドメイン登録証明書
  • 事業登録証
  • 法人登録証(該当する場合)
  • 国税及び関税納税証明書等

しかし、韓国税関が2026年5月28日に公表した制度概要を確認すると、これらは韓国国内事業者向けの提出書類です。日本企業を含む韓国外の事業者に義務付けられているのは、次の2点のみです。

提出書類内容
インターネットドメイン登録確認書自社ドメインの登録情報が分かる資料(WHOIS情報、レジストラ発行の証明書など)
事業所所在国の事業者登録証日本であれば法務局発行の登記事項証明書などが候補

FedExの案内は韓国内外の書類を区別せず一覧化しているため、そのまま5点をそろえようとすると、本来不要な書類まで準備する無駄が生じかねません。日本には韓国の「通信販売業申告証」に相当する全国共通の証明書はなく、「国税及び関税納税証明書」や、韓国国内事業者向けの「法人登記簿謄本」も、公式発表上は海外事業者の必須提出書類には含まれていません。ただし、これは韓国国内の法人登記書類が不要という意味であり、日本の登記事項証明書自体は、海外事業者向けの必須書類である「事業所所在国の事業者登録証」として必要になります。

翻訳・公証の要否は「未確定」 断定せず個別照会が必要

日本法人が「事業所所在国の事業者登録証」として履歴事項全部証明書(登記事項証明書)を提出する場合、翻訳・公証・アポスティーユの要否は、確認した韓国税関の公開案内には明示されていません。「英訳すれば足りる」「公証は不要」といった断定はできず、申請画面の指示に従うとともに、事前に韓国税関または利用する配送事業者に確認する必要があります。

実務上は、最新の履歴事項全部証明書を取得し、社名・所在地・代表者名をECサイトの特定商取引法表記やドメイン登録情報と一致させたうえで、英訳を添付した1つのPDFにまとめておくと審査時の確認がスムーズになると考えられます。ただし、公証やアポスティーユは、韓国税関や配送事業者から個別に求められた場合に対応すれば十分でしょう。

書類提出とシステム対応はどうする?

海外事業者の登録手続きは、専用サイトでのメール認証後に申請書と添付書類を提出する形で進みます。申請には法人としての権限を持つ担当者名義での対応が想定されるため、社内でどの部署・役職者が申請主体になるかを事前に決めておく必要があります。

もう1つの論点が、顧客・取引情報を税関へ届ける方法です。「API連携の義務化」という言葉だけを見ると、自社での大掛かりなシステム開発が必要だと感じるかもしれませんが、実務上はFedExなど配送事業者を介して情報を渡す形が基本になります。韓国税関の海外事業者向けサイトには、取引情報をエクセルファイルで提出するメニューも用意されており、自社システムを配送会社のAPIに接続する方法と、この簡易的な提出方法のいずれで対応するかは、取扱貨物量や既存システムの状況に応じて検討することになります。

まとめ:年内に確認したいチェックリスト

韓国向けに販売・配送を行う日本企業は、年末の猶予期限を前に、以下を確認しておくことをおすすめします。

  • 自社が登録対象の3類型(モール運営・購入代行/販売仲介・配送代行)のいずれかに該当するか
  • 該当する場合、登録専用サイトでメール認証を行い、社内の申請主体を決めているか
  • 準備すべき書類は「海外事業者向けの2点」であり、韓国内事業者向けの書類まで用意しようとしていないか
  • 履歴事項全部証明書を使う場合、翻訳・公証の要否を事前に照会したか
  • 取引情報の提出方法(API連携かエクセル提出か)を、利用する配送会社と決めているか

事業者番号の取得と、貨物ごとの情報連携は別の作業です。番号を取得しただけで対応が完了したと考えず、取引の実態に沿って1つずつ確認していくことが、年明けの配送遅延を避けるための実務上の課題となります。

The Korea Customs Service (KCS) has introduced a registration system for electronic commerce operators shipping cross-border goods to Korea, effective June 5, 2026, as part of the revised Customs Act. Businesses must register to comply with customs regulations, or their shipments will require formal import declarations after the grace period ends on December 31, 2026. There are only two necessary documents for foreign businesses, and existing registrants must re-register under the new system. Companies should ensure they understand their registration obligations and related requirements to avoid delays in shipping.

この記事を書いた人

森 茂樹

元Web3ニュースメディア編集長。日本とオーストラリアで20年以上にわたり、記者・編集者、翻訳者、Webプロデューサーとして活動。日本ではエンターテインメント「ザテレビジョン」(KADOKAWA)ほか、豪州では「日豪プレス」の記者・編集者として従事した。

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