アメリカのCPSC eFiling義務化とは?対象製品と事業者が行うべき対応を解説

Published On: 2026-07-07|Last Updated: 2026-09-30|Tags: , , |Categories: インサイト, 規制・関税|By |

2026年7月8日から、米国消費者製品安全委員会(CPSC)が管轄する対象製品について、「eFiling(電子申告)」が義務化されることになりました。

「初めて聞く言葉ばかりで難しそう」と感じる方もご安心ください。本記事では、基礎となる「CPSC」や「eFiling」の説明から、制度の概要や対象製品、未対応時のリスク、事業者が対応すべきポイントまでわかりやすく解説します。

目次

  1. CPSC電子申告(eFiling)義務化制度とは?施行後の変化・リスクまとめ
  2. 事業者が用意すべきCPSC適合証明書(CPC/GCC)とは?
  3. CPSCの電子申告(eFiling)義務化に向けた事業者の対応は?
  4. まとめ|CPSC eFiling義務化に向けて準備すべきことは?

1. CPSC電子申告(eFiling)義務化制度とは?施行後の変化・リスクまとめ

CPSC eFiling義務化とは、アメリカに輸入される製品の安全性を保障する機関「CPSC」に従い、CPSCの規制対象品に対して適合証明書(CPC・GCC)の電子申告を義務付ける制度です。7月8日から義務化されるため、日本からアメリカにおもちゃ・ベビー用品・家具・寝具などの消費財を販売している事業者にとって、非常に注意が必要です。

ここでは、制度の中心となるCPSCやeFiling、電子申告(eFiling)義務化の概要について解説します。

【CPSC電子申告(eFiling)義務化制度の概要】

  • CPSCとは?
    CPSC(米国消費者製品安全委員会)とは、アメリカ国内で流通する消費財の安全基準策定やリコール対応を担う連邦政府の独立機関です。日本の消費者庁と経済産業省を合わせたような機関で、「米国で売る=CPSCのルールに従う」と理解しておくと分かりやすいでしょう。(参照:About CPSC)
  • eFilingとは?
    規制対象製品をアメリカに輸出する際、CPSCが定める適合証明書(CPC・GCC)のデータをオンラインで提出する仕組みです。

  • 2026年7月8日以降の変化は?
    従来は証明書(CPC・GCC)を保管し、必要に応じて提示する運用が一般的でした。7月8日以降は、商品を船に乗せる前の段階でeFilingを用いたデータの提出が必要になります。
  • 未対応のリスク
    eFilingに対応できない場合、通関遅延・現地での貨物破棄などが生じる可能性があります。制度開始後は、証明書管理の不備がそのまま輸入リスクにつながります。「証明書は取得済みだから大丈夫」という事業者も、電子申告の仕組みが整っていなければ対応済みとは言えません。証明書の取得と、eFilingへの登録・提出は別の作業です。今一度、自社の対応状況を確認することをおすすめします。


2. 事業者が用意すべきCPSC適合証明書(CPC/GCC)とは?

CPSC規制対象製品には、CPCまたはGCCの取得が求められます。必要となる証明書は製品カテゴリーによって異なります。まずは自社製品がどちらに該当するかを確認しましょう。

【CPCとは?】

CPCとは、Children’s Product Certificate(子供向け製品適合証明書)のことです。
(参照:子供向け製品認証(CPC)に関するよくある質問)

  • 対象
    おもちゃ、子供用パジャマ、ベビーカー、子供用二段ベッドなど(参照:対象カテゴリ)
  • 要件
    CPSC公認の「第三者試験機関」でのテストが必須。その結果を元にメーカー・輸入者が英語で書面を作成する。
  • フォーマット
    特定のフォーマットはなく、以下サイトに記載の7つの要素がすべて含まれている必要があります。(参照:CPCに必要な要素)

【GCCとは?】

GCCとは、General Certificate of Conformity(一般製品適合証明書)のことです。

【GCCとCPCで重複しているカテゴリと判断基準は?】

以下のカテゴリはCPC・GCC両方の対象となっており、どちらの証明書が必要かを個別に判断する必要があります。

▼重複カテゴリ

ATV(全地形対応車)ボタン電池およびコイン電池強力磁石セット玩具、模造品、および模造銃器
自転車用ヘルメット大型/小型のカーペット・ラグ類マットレスおよびマットレスパッドビニールプラスチックフィルム製品
自転車本体衣類収納用チェスト・ユニットマットレスセット一式二段ベッド
ダイビングスティック等の水遊び玩具鉛含有塗料・表面コーティング剤  


CPSCは16 CFR Part 1200:子供用製品の定義に関する解釈規則という法律を基準に、以下の4つの要素を見てGCCかCPCかを判断します。 子供向けの装飾やサイズになっていれば一般用(GCC)ではなく、子供用(CPC)となるため、注意が必要です。

  1. 製造元の意図・商品説明:説明書やパッケージで「子供用」と謳っているか。
  2. 製品の装飾やデザイン:子供が好むキャラクター、子供向けの色、子供サイズになっているか。
  3. 販売・マーケティング方法: おもちゃ屋や子供服売り場で売られているか。
  4. 消費者の一般的な認識:大人が日常的に使うものか、子供が使うものか。

3.CPSCの電子申告(eFiling)義務化に向けた事業者の対応は?

製造の責任を持つメーカーやOEM事業者は、CPCやGCCなどの製品安全証明書や試験データのデジタル整備・登録準備を進めましょう。特にメーカーはこれらの発行主体として情報の管理責任を負うため、CPSCへデータをスムーズに連携できる体制づくりが必須となります。

【事業者の対応】

  • 自社製品が規制対象か確認する
    自社製品がCPSCの規制対象に該当するか分からない場合は、CPSCが提供する無料ツール「Regulatory Robot」を活用しましょう。製品カテゴリーに応じて、適用される安全基準や必要な適合証明書(CPC・GCC)を確認できます。
    (参照:CPSC Regulatory Robot)
  • 必要な試験を実施し、検査結果を保管しておく
    CPC(子供向け製品適合証明書)の対象製品は、CPSC公認の試験機関による試験が必要になります。eFiling対応時や当局からの確認に備え、試験結果や関連資料は適切に保管しておきましょう。
    (参照: CPSC公認の「第三者試験機関」でのテスト)
  • CPCまたはGCCを英語で作成する
    製品区分に応じて、CPCまたはGCCの作成が必要です。 証明書には製品情報や適用規則、試験機関情報などを記載し、英語で管理できる状態にしておきましょう。
  • 配送業者への確認
    物流・配送を任せている配送業者に、自社の商品がこれまで通り送れるかどうかを確認しましょう。

4.まとめ|CPSC eFiling義務化に向けて準備すべきことは?

CPSC eFiling義務化は、米国向け越境EC事業者にとって重要な制度変更です。今後は証明書を保管するだけでなく、輸入前に情報を電子申告する体制が求められます。制度開始までに以下の3点を優先して進めましょう。

  • 対象製品を確認する
    自社製品がCPSC規制対象か確認し、必要な証明書を把握しましょう。
  • CPC・GCCを整備する
    必要な試験や証明書の準備を進め、情報を適切に管理しましょう。
  • 物流・通関体制を見直す
    通関業者や物流パートナーと連携し、eFiling対応フローを確認しましょう。

 

この記事を書いた人

森 茂樹

元Web3ニュースメディア編集長。日本とオーストラリアで20年以上にわたり、記者・編集者、翻訳者、Webプロデューサーとして活動。日本ではエンターテインメント「ザテレビジョン」(KADOKAWA)ほか、豪州では「日豪プレス」の記者・編集者として従事した。

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