
中国向け越境ECガイド|市場動向・人気商品・主要プラットフォームを解説
中国は世界最大規模の越境EC市場であり、日本製品の需要が年々高まっています。中国の消費者は品質に敏感で、特に美容・健康関連の商品において日本製品への信頼が厚いのが特徴です。
本記事では、海外進出を検討中の方や売上拡大を目指す事業者の方に向けて、日本から中国への越境EC市場の現状を分析し、参入方法や主要プラットフォーム、注意すべき課題までを解説します。
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【2026年】越境EC参入ガイド|準備~開始のプロセスを徹底解説
越境ECとは? 注目背景、始め方、市場規模をわかりやすく解説
1. 中国の越境EC市場と消費傾向
中国政府による制度面での後押しと消費者の旺盛な購買意欲が市場の急成長を支えており、世代ごとの価値観の違いを理解することが商品選定とマーケティング戦略の土台になります。

市場規模
2024年の中国消費者による日本事業者からの越境EC購入額は2兆6,372億円(前年比8.5%増)に達しており、日本から中国への越境EC市場は拡大が続いています。 (参照:経済産業省|令和6年度電子商取引に関する市場調査) (参照:経済産業省|令和6年度電子商取引に関する市場調査)
こうした成長の背景には、中国政府による制度面での支援があります。越境EC専用の保税区や専用物流ルートの整備、事業者向けの優遇税制など、政策的な後押しが継続的に行われています。また、越境ECの利用者は19〜40歳が84%を占めており、若年層・中堅層が市場の中心を担っています。 (参照:ネットショップ担当者フォーラム|中国人の越境ECサイト利用状況)
「ブランドよりコスパ重視」の消費傾向
JETROのレポートによると、2018年頃から「消費降級(消費のダウングレード)」という言葉が広まり、プレミアム価格のブランド品から性能が同等の低価格品へ切り替える「平替」という消費行動が一般化しました。
また、ブランドよりも実用性や体験の質を重視する「反向消費」や、自分自身の満足を重視する「悦己型消費」も広がっています。「日本製だから売れる」「有名ブランドだから選ばれる」というよりは、価格に見合う品質や、使用感を具体的に伝えるマーケティングが重要になっています。(参照:JETRO|流行語から読み解く中国の消費マインドの変容)
若年層の消費は「自分らしさ」を重視
中国の越境ECユーザーの中心は19〜40歳の若年層・中堅層であり、この年代の中でも世代によって消費行動には違いが見られます。
Z世代(1995〜2010年頃生まれ)は、中国における一人っ子政策(1979年〜2015年頃)により、小紅書や抖音といったSNSへの依存度が高いのが特徴です。消費面では「自分らしさ」を重視する傾向が強く、中国のZ世代消費者のうち51%が個性的な商品を提供するブランドを好み、53%がカスタマイズサービスのあるブランドを選ぶという調査結果もあります。 (参照:McKinsey Greater China|中国Z世代消費者特集)
一方で口コミによる影響力は他の世代より低く、購買の意思決定にはSNS上のインフルエンサーやKOC(一般ユーザーによるリアルなレビュー)の影響が大きいとされています。また消費信用サービス(後払い決済など)への抵抗感が薄く、月々の収入を貯蓄せず使い切る消費スタイルも特徴的です。 (参照:McKinsey Greater China|中国Z世代消費者特集)
高齢化に伴う、子から親へのギフト需要
中国では高齢化にともなう「銀髪経済(シルバー経済)」という市場自体が急拡大しており、2035年には約30兆元(約600兆円)規模に達すると予測されています。シニア本人が直接購入するケースよりも、離れて暮らす子供世代が親のために「贈り物」として購入する「デジタル親孝行」という動きが一部で見られます。日本製の補聴器・健康管理用スマートデバイス、紙おむつなどはシニアの健康維持やQOL向上につながるためすでに評価されています。現時点ではニッチな需要ですが、健康用品・介護関連用品を扱う事業者はぜひ抑えておきましょう。 (参照:久兵衛の暮らしのニュース|中国の銀髪経済とは)
2.中国市場で売れる日本製品は?
またJETROが実施した「中国の消費者の日本製品等意識調査」でも、越境ECで購入した日本商品として基礎化粧品(46.9%)が最も多く、メイクアップ化粧品(46.1%)、食品(43.5%)が続く結果となっています。 (参照:日本ネット経済新聞|中国越境ECの”今と現実”美容・ベビーに強い日本)
上記データはやや古めですが、美容・健康関連商品が中国向け越境ECの中心カテゴリであるという傾向は現在も継続しています。
【中国市場で人気が高い日本製品】
- スキンケア・美容製品
美容に投資する意識が高く、「井田ラボラトリーズ」が展開する「キャンメイク(CANMAKE)」は高品質で手頃な価格のコスメとしてSNS等で高い人気を集めています。同社の中国向けマーケティング施策も成功事例の1つとしてぜひご覧ください。(参照:株式会社 ENJOY JAPAN|中国越境EC市場のマーケティング支援を担当) - 電子機器・家電
美容機器や家電製品は、機能の豊富さや信頼性が評価されています。ヤーマン株式会社は、Tmall内の美容機器部門の販売実績で2024年より2年連続1位を獲得しています。(参照:Tmallにおける中国「独身の日」 美容機器部門で昨年に続き1位*¹を獲得) - マタニティ・ベビー用品
花王、ユニ・チャーム、ピジョンなどの日本メーカーが有名です。特に紙おむつなどやボディケア用品の需要が拡大しています。特にピジョンは中国シェア4割強を維持しており、高い人気があります。 - 食品・飲料
菓子類や健康食品など、訪日中国人の購入商品としても上位に位置しており、「日本でしか手に入らない」という希少性が支持を集めています。食品では、味や希少性だけでなく、賞味期限、温度管理、破損リスク、成分表示、輸入可能性を含めて採算を判断する必要があります。訪日時に購入された実績がある商品でも、中国国内で継続購入されるとは限らないため、リピート率を検証しましょう。
3. 中国向け越境ECの参入方法は?
中国の越境ECプラットフォームはそれぞれ性格が異なるため、自社の商材やフェーズに合わせて選ぶことが重要です。認知形成は小紅書と抖音、ブランド力強化ならTmall Global、配送を重視する場合はJD Worldwideなど、各プラットフォームの特長を解説します。
1. Tmall Global(天猫国際)|ブランド信頼型のB2Cモール
中国の越境EC市場において最大級のプラットフォームです。2024年2月時点で、90の国・地域から46,000店が出店されており、主に大手ブランドや公式店舗が集まっています。購買意欲の高いユーザー層に支持されており、ブランドとしての信頼性を重視する化粧品・健康食品などの商材と相性がよい一方、出店には厳格な審査とブランド認証が必要です。
2. JD.com(京東国際)|物流品質に強みを持つB2Cモール
家電製品や電子機器を取り扱うブランドにとって有力な選択肢です。物流倉庫を世界中に展開しており、迅速な配送体制による顧客満足度の向上に強みがあります。高所得者層をターゲットにした、ブランド品や高品質商品の販売に向いています。
3. 小紅書(RED)|Z世代女性への「発見」を生むSNS型EC
Z世代女性を中心に月間アクティブユーザー3.5億人を抱える、日本商品の情報収集で第1位のプラットフォームです。ユーザーが商品レビューを投稿する「種草(シェード)」文化が特徴で、広告色の薄いUGC(ユーザー投稿コンテンツ)が購買意欲を刺激します。化粧品・アパレルなど、ビジュアルや使用感が重要な商材の認知拡大に向いています。
4. 抖音(Douyin)|ライブコマースで短期売上を作るSNS型EC
全世代に利用される動画プラットフォームで、ライブコマースによる実演販売が強みです。インフルエンサーとのコラボレーションを通じて短期間で売上を作りやすく、新商品のテストマーケティングにも活用されています。
5. 拼多多(Pinduoduo)|低価格志向のソーシャルEC
友人との共同購入で割引を受ける仕組みが特徴で、年間アクティブユーザー数は6億人にのぼります。初期費用や手数料が他のプラットフォームより安く、中小規模の事業者でも参入しやすいのが特徴です。生活雑貨や低価格商品との相性がよい傾向があります。ただし、低価格帯商品は中国企業の値段と同等でない限り選択肢に入りづらい状況があります。
越境ECの参入方法全般については、以下の記事で詳しく解説しています。 【2026年最新】越境EC参入ガイド|準備〜開始のプロセスを徹底解説
4. 中国向け越境ECの物流・税制・決済
中国向け越境ECでは、保税区モデルと直送モデルの2つの方式、税制、返品対応、決済方法を販売前に確認する必要があります。
越境ECの物流全般については以下記事で解説しています。
海外販売の物流ガイド|主要な配送手段やよくある課題、パートナー選定のポイントを解説
保税区モデルと直送モデル
保税区モデルは、中国国内の保税倉庫に商品を事前保管するため配送が速い一方、在庫リスクがあります。直送モデルは日本から注文ごとに発送するため在庫リスクを抑えられますが、配送日数と送料が増えやすい方式です。
越境EC小売輸入の対象は、政府の対象商品リストに掲載された品目に限られます。取引限度内では関税0%、輸入増値税・消費税は法定税額の70%となります。販売前に対象品目と最新の限度額を確認してください。
(参照:財政部・海関総署・税務総局「財関税〔2018〕49号」)
返品対応の明記
中国語で返品条件、返金時期、交換方法を明示しましょう。税関放行後30日以内の返品には税還付制度がありますが、実際の条件はプラットフォームの規約と併せて確認が必要です。
(参照:財政部・海関総署・税務総局「財関税〔2016〕18号」)
Alipay・WeChat Payなどのモバイル決済
中国ではモバイル決済が広く利用されています。自社ECではAlipayやWeChat Payへの対応可否に加え、返金、為替、入金サイクルを確認しましょう。ECモールへ出店する場合は、各プラットフォームの決済・精算条件に従いましょう。
(参照:中国人民銀行「2025年第3四半期 支払体系運行総体情況」)
5. まとめ|中国向け越境ECの3つのポイント
中国向けECを始める際は、、以下の3つを軸に今後の施策を検討しましょう。
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消費者傾向を踏まえた商品訴求
節約志向やオンライン上の口コミを重視する傾向を踏まえ、「日本製」というだけでなく、成分、機能、安全性、使用体験など、価格に見合う価値を具体的に伝えましょう。 -
商材に合ったプラットフォーム選定
小紅書や抖音による認知形成、Tmall Globalでの公式販売、JD Worldwideの物流網など、各プラットフォームの特徴を踏まえて販売先を選びましょう。 -
サポート体制の確立
保税区モデルと直送モデルの使い分けや、中国向けモバイル決済への対応、返品対応などの運営体制を確立させましょう。




