
海外販売の物流ガイド|主要な配送手段やよくある課題、パートナー選定のポイントを解説
日本国内の人口減少や消費の停滞を背景に、海外市場への進出を検討する企業が増えています。ECプラットフォームの進化により、中小企業でも海外販売に取り組みやすい環境が整ってきました。
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一方で、海外販売を始めると多くの企業が直面するのが物流の課題です。商習慣の違いや国ごとの規制、通関手続きの煩雑さ、配送コストやリードタイムのばらつきなど、対応すべき点は多岐にわたります。
物流の仕組みを戦略的に整備できれば、海外顧客の満足度向上やリピート購入の促進につながります。本記事では、国際物流の基本構造から物流現場でよくある課題、解決策、業者選定のポイント、成功事例までを解説します。
目次
1. 国際物流現場でよくある課題
国内向けと異なり、国際物流では輸出入手続き、通関、国境を越える輸送、現地配送までの長い工程が加わります。関わる工程が多いうえ、天候や自然災害、通関の混雑、政情不安といった企業側でコントロールできない外部要因によってリードタイムが変動することもあり、柔軟な在庫・納期設計が求められます。
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ここでは、海外販売で特に発生頻度が高く、対応の難しい7つの課題を紹介します。

複雑な通関手続き
各国で規制や必要書類が異なり、記載内容に不備があると税関での滞留や差し戻し、最悪の場合は没収につながります。化粧品や食品、電気機器などは現地での認可や検査が必要になる場合もあるため、事前の確認をおすすめします。
日本貿易振興機構(JETRO)の調査では、米国向けにECで販売している企業の約半数が、少額輸入貨物への関税免除制度「デミニミスルール」の撤廃による影響を受けていると回答しています。関税・通関制度は変更されることを前提に、最新情報を継続的に確認しましょう。 (参照:JETRO|日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査(2025年度))
EUで開始した免税廃止については、以下記事で解説しています。
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通関手続きの具体的な流れや必要書類は、税関|輸出入手続や税関|カスタムスアンサー(税関手続FAQ)で確認できます。
発送できない商品への対応
国や地域によっては、輸入が禁止・制限されている品目があります。アルコールや医薬品、特定の植物・動物製品などが代表例です。知らずに発送すると現地税関で廃棄されることもあるため、出荷前に発送可否を確認する体制を整えましょう。
日本からの輸出が禁止・規制されている品目は、税関|輸出入禁止・規制品目で確認できます。輸出先国側の規制については、JETROの国・地域別情報もあわせて参照しましょう。
国ごとに異なるリードタイムと配送精度
配送日数や配達の正確性は、国や地域によって差があります。都市部は比較的安定していても、郊外やインフラが未整備な地域では遅延が常態化している場合もあるため、国ごとの傾向を出荷案内やサポート体制に反映させましょう。
国別の物流事情や商習慣について相談したい場合は、JETRO|貿易・投資相談Q&Aが参考になります。
梱包基準・破損リスクの違い
海外への長距離輸送では、荷物が複数回積み替えられたり、荒い扱いを受けたりする可能性が高まります。国内と同様の梱包では破損リスクが高いため、現地の輸送事情を踏まえた梱包設計をおすすめします。
物流コストの高さと変動性
国際配送には航空・海上輸送費に加え、燃油サーチャージ、関税、現地配送費などのコストが絡みます。為替の変動や情勢不安による運賃高騰も起こり得るため、複数の配送ルートや業者を比較・検討し、コストを平準化しましょう。
実際に、日本から米国向けの航空貨物運賃は2025年度下期の運賃交渉でも高値圏で妥結しており、高止まりの状態が続いています。 (参照:日本経済新聞|米国向け航空貨物運賃、高値続く)
輸出先国の関税率は、JETRO|世界の関税率で事前に調べておくと、価格設計やコスト試算に役立ちます。
返品・再配送対応の困難さ
顧客都合の返品や不在による再配送は、国内であれば比較的容易ですが、海外では送料や通関費用が二重に発生する可能性があります。返品規定の整備や、現地対応を請け負うパートナーとの連携がリスク低減につながります。
海外の顧客とのトラブル対応で参考になる相談窓口として、国民生活センター|越境消費者センター(CCJ)があります。
情報の可視化と追跡の課題
海外配送では、荷物の所在や配送状況の把握が難しいケースもあります。追跡機能が不十分な配送手段を選ぶと顧客対応にも影響するため、トラッキング対応の有無や情報更新の頻度を業者選定時に確認しましょう。
海外販売の物流には、いくつかの選択肢があります。扱う商材の特性や販売国、取引量によって最適解は異なるため、自社の状況に適した方法を選びましょう。
自社の国内倉庫から個別に直送する
日本国内の自社倉庫から、注文ごとに海外へ直接発送する方法です。初期投資が少なく、少量・多品種の発送に適しています。
メリット
- 自社で在庫・品質を一括管理できる
- 初期コストを抑えてスタートできる
- 少量・不定期出荷にも対応しやすい
デメリット
- 通関や配送手配の手間が都度発生する
- 発送に時間がかかる(リードタイムが長い)
- 配送料が高くなりやすい
海外配送の代行業者に委託する
輸出・通関・配送までを一括で請け負う業者に委託する方法です。国際配送に特化したサービスを活用することで、手続きや配送効率を効率化できます。
メリット
- 専門知識がなくても業務を効率化できる
- 安定した配送ルート・手続きに対応できる
- 顧客向けの追跡機能を持つ業者もある
デメリット
- 業者によって費用や対応範囲に差がある
- サービスに依存するため柔軟な変更がしにくい
- 顧客対応にタイムラグが生じることがある
現地に自社倉庫を設け、そこから発送する
一定以上の出荷量が見込まれる場合は、販売対象国に自社倉庫を設ける選択肢もあります。現地在庫を持つことで、配送の迅速化とコスト削減が実現しやすくなります。
メリット
- 配送スピードが飛躍的に向上する
- 配送料が抑えられ、価格競争力が上がる
- 返品や交換対応も現地で完結できる
デメリット
- 倉庫の運営・管理に大きなコストと手間がかかる
- 売れ残り在庫のリスクが高まる
- 現地法人や税務対応が必要な場合がある
現地倉庫を保有する業者に委託し、発送を任せる
フルフィルメント型の物流サービスを活用する方法です。日本から商品をまとめて現地倉庫に輸送し、そこから顧客ごとに発送してもらう仕組みです。
メリット
- 現地配送のスピードとコストを最適化できる
- 通関や保管、在庫管理まで業者が代行してくれる
- ECプラットフォームと連携した運用もできる
デメリット
- 業者選定に慎重さが求められる(信頼性・実績)
- 商品補充のリードタイムを見越した運用が必要
- サービス料が継続的に発生する
3. 国際物流パートナーを選定するポイント
物流パートナーの選定は、海外販売を安定的に展開するうえで重要な意思決定です。どの業者と組むかによって、配送品質や顧客満足度、運用負荷、コスト構造までもが変わります。ここでは、選定時に重視すべき5つのポイントを紹介します。
対応国とエリアのカバー範囲
自社がターゲットとする国・地域に、どの程度対応しているかを確認しましょう。業者によって得意エリアに偏りがあるため、都市部だけでなく郊外や離島への配送実績も判断材料になります。
物流業務のサポート範囲
荷物を運ぶだけでなく、通関代行・現地倉庫での保管・在庫管理・返品対応まで、どこまでワンストップで対応できるかを比較しましょう。委託する範囲と自社で担う範囲の線引きを明確にすることが大切です。
料金体系とコスト構造
料金の安さだけでなく、コストが発生するタイミングもあわせて確認しましょう。配送量による価格変動、追加料金の有無(燃油サーチャージ、保管料、返品時の費用など)、為替リスクを含めて長期的なコスト設計を見極めることが重要です。
追跡・可視化システムの有無
顧客が配送状況をリアルタイムで確認できるかどうかは、購入満足度に大きく影響します。追跡システムの精度や更新頻度、自社の管理システムとのAPI連携の可否も比較ポイントです。
信頼性と実績
条件が魅力的でも、実績や信頼性が伴っていなければ継続的な取引には不安が残ります。トラブル時の対応体制や過去の取引実績、問い合わせへのレスポンスの早さも確認しましょう。
4. 物流最適化による海外販売拡大の事例
物流の見直しは、企業の規模や業種にかかわらず成果につながる可能性があります。専門知識がなくても「まるごと代行」できるサービスを活用することで、海外販売の第一歩をスムーズに踏み出せます。
AiO JAPAN株式会社:発送代行で越境ECのハードルを解消
中国からインテリア雑貨やファッションアイテムなどを輸入・販売するAiO JAPAN株式会社は、当初は自社での梱包・発送のみで国内販売を行っていました。
海外通販アプリ「Wish」への出店をきっかけに海外販売を開始しましたが、インボイスや税関通知書といった海外発送特有の書類作成が大きな負担でした。そこで、物流アウトソーシングサービス「オープンロジ」に海外発送を委託しました。
商品を倉庫に納品するだけで、書類発行から発送までを一括で代行してもらえる体制に切り替えたことで、国内発送と変わらないオペレーションのまま海外販売を続けられるようになりました。 (参照:オープンロジ|AiO JAPAN株式会社の導入事例)
そのもの株式会社:まるごと代行で販路を拡大
福岡市に本社を構えるそのもの株式会社は、納豆のフリーズドライや粉末加工食品といった自社商品を開発・販売しています。
自社ECサイトを英語対応にし、Amazon USでも販売を開始しましたが、配送が困難な国の確認に時間がかかり、発送制限や法改正のたびに対応に追われていました。HTMLタグを国内ECサイトに1行埋め込むだけで海外向けの購入バナーが表示され、問い合わせ・注文・決済・発送対応までを一括代行できる「ZenLink」導入後は対応可能な配送対象国が拡大し、これまでリーチできなかった国の顧客にも商品を届けられる体制が整いました。 (参照:ZenOne|そのもの株式会社がZenLinkを導入)
pieces of Japan株式会社:物流委託でマーケティングに注力
京都の実店舗と越境ECサイトで伝統工芸のライフスタイル雑貨を販売するpieces of Japan株式会社(POJ Studio)は、月間の海外出荷件数が300〜400件に達していました。
取り扱いSKUの増加や梱包パターンの多様化により自社リソースでは対応が追いつかず、発送作業に追われて在庫計上が後手に回り、販売機会の損失も生じていました。そこで2023年6月から、エスグローの越境EC物流代行サービス「ロジグロ」に発送業務を委託しました。
入荷・検品・梱包・在庫管理・発送・書類作成までを一括で任せられる体制に切り替えたことで、自社は商品開発やマーケティングに注力できるようになりました。 (参照:ロジグロ|pieces of Japan株式会社の導入事例)
5. まとめ|海外販売の物流を最適化する3つのポイント
海外販売の物流は、通関手続き・輸送手段の選定・現地配送・規制対応・リードタイムの調整など、多層的な知識と実行力が求められる領域です。以下の3つのポイントを押さえて、自社に合った物流体制を整えましょう。
自社に合った物流手段の選定
自社倉庫からの直送、物流業者への委託、現地倉庫の活用など、取引量や商材特性に応じた方法を段階的に選びましょう。
信頼できる物流パートナーの見極め
対応エリア・サポート範囲・料金体系・追跡システム・実績を比較し、長期的に信頼できる業者を選定しましょう。
物流代行サービスの活用
自社リソースが限られる場合は、通関から発送までを一括代行するサービスを活用し、社内負担を抑えながら販路を拡大しましょう。
Increasingly, Japanese companies are considering expanding into overseas markets due to domestic population decline and stagnating consumption. However, they face logistical challenges, including complex customs procedures, varying shipping times, and high costs. This article outlines common logistical issues faced in international sales, potential solutions, and strategies for selecting logistics partners. By optimizing logistics processes, companies can enhance customer satisfaction and boost repeat purchases. The piece also discusses case studies of businesses successfully navigating these challenges through logistics outsourcing and strategic partnerships.




