越境ECで実績を積んだアパレルブランドが、海外イベント出展をリアルな顧客接点として活用する動きが広がっている。ジグザグは12日、ドイツの大型ファンイベントでアパレルブランドのOMO型出展を支援したと発表した。
開催期間の日次売上が伸びたほか、サイズ需要や購入を見送った理由など、欧州市場特有の顧客インサイトを取得したという。オンライン単独では捉えにくい情報の獲得手段として、リアル接点の価値が改めて問われている。
海外イベントを購買データとつなぐ
越境ECで販売実績を持つブランドが、認知拡大やファンとの接点づくりを目的に、海外でのポップアップやイベント出展を検討する例が増えている。オンライン販売で得られるのは購買履歴が中心で、来店客の反応や購入をためらう要因といった情報は取りにくい。実店舗を持たないブランドにとって、海外イベントは顧客理解を補う場となりうる。
ジグザグの発表によれば、今回の取り組みはアパレルブランド「MAYLA」(運営:Dolls)が7月31日から8月2日にドイツ・マンハイムで開かれたアニメ・ゲーム関連イベント「AnimagiC 2026」に出展したもので、来場者が試着後にQRコードから越境ECサイトへ遷移して購入する導線を設けた。オフラインの接点をそのまま越境ECの購買につなぐ、OMO(オンラインとオフラインの融合)型の設計である。
ほぼ全員が試着、購入しない理由も明確に
同社によると、出展期間3日間の欧州向け越境EC日次売上は、開催前30日間の日次平均と比べ約11倍に伸びた。もっとも、これはイベント期間中と平常時との比較であり、催事期間は売上指標が跳ねやすい。絶対額や販売件数、客単価は公表されておらず、数値のみから効果の大きさを判断するのは難しい。
同社は5月に台湾で実施した事例と近い水準だとし、市場が異なっても同様の傾向が見受けられた点を成果としている。むしろ、注目されるのは、購入に至らなかった理由が具体的に把握できた点だ。
試着をせずに購入した来場者はほとんど見られず、アパレルやアクセサリーは試着を通じて価値が伝わりやすい傾向があるという。購入を見送った層からは、サイズ展開の不足、素材やアレルギーへの懸念、日本ブランドとしての訴求不足といった障壁が確認された。
本物志向や環境配慮への意識の高さも、欧州市場特有の傾向として挙げられている。
サイズ展開に欧州特有の傾向
会場では、来場者に普段の靴のサイズを尋ねるヒアリングも実施した。同社によれば、回答83件のうち欧州(EU)サイズ37〜42が全体の約8割を占め、38が最多で20.5%(38.5を含む)だった。サンプル数は限られ一般化には慎重さを要するものの、欧米向けのサイズ展開を検討する際の一次的な手がかりにはなる。
越境ECのアパレル事業者にとって、海外のリアル接点は売上機会であると同時に、サイズや素材、ブランドの訴求方法といった市場固有の論点を検証する場ともなりうる。オンラインで積み上げた実績を現地の接点でどう補完し、次の商品開発や販促に反映するかが、今後の検討課題となる。

