
Temu、欧州4カ国でEC首位=日本では楽天・Amazonの厚い壁
独EC市場などの最新調査によれば、中国系越境EC・Temuが23日、クロアチアなど欧州4カ国で売上高が最も多いオンラインストアに、日本国内では全インターネットサービスで8位(利用者数5721万人)に入るなど急拡大していることが分かった。欧州では既存の有力モールの有無、日本では楽天市場やAmazonの厚い利用者基盤が順位を分けた。EUの通関コスト上昇とTemuの物流現地化が、今後の順位を左右する可能性がある。
欧州4カ国で売上首位、8カ国で2位
独EC市場調査会社ECDBによると、Temuはクロアチア、フィンランド、ハンガリー、スロベニアの4カ国で、オンラインストア別のEコマース純売上高(2025年)が1位となった。フランス、ポルトガル、ノルウェー、ブルガリア、ギリシャ、オーストリア、チェコ、スロバキアの8カ国では2位だった。一方、ドイツ、スイス、英国、オランダ、イタリア、スペインでは上位2位に入らなかった。欧州参入から約3年で広く上位に入ったものの、国ごとの差も大きい。
首位となった4カ国には、Amazonの現地版ストアや、ポーランドのAllegro、オランダ・ベルギーのBol.comに相当する大規模な国内モールがない。ECDBは、Temuの低価格と品ぞろえが競争力となる一方、既存事業者の強さが到達順位を左右すると分析する。Amazonが首位のフランスではTemuは2位にとどまり、国内勢が強い英国やオランダ、Amazonも有力なイタリアやスペインでは上位2位に届かなかった。Temuが一部市場で首位になった背景には、越境購入に慣れた消費者が多いことに加え、強固な既存プラットフォームが相対的に少ない市場構造がある。
日本では楽天市場・Amazonの厚い壁
日本の順位は欧州とは指標が異なる。ニールセン デジタルの「Tops of 2025」によれば、PCとモバイルの重複を除いた年間利用者数で、楽天市場は全インターネットサービスの5位、Amazonは6位、Temuは5721万人で8位だった。欧州の順位がEコマース純売上高を基準とするのに対し、日本はサービスへの接触者数を示すため、両者を単純比較はできないが、Temuが日本進出から3年で上位10サービスに入ったことは、利用者基盤の急速な拡大を示している。
日本では、Temuの平均月間利用者数が2025年に5721万人となった一方、楽天市場が7215万人、Amazonが6804万人で上回った。利用者数の差を配送網だけで説明することはできないが、楽天市場は所定の締め切りまでの注文を翌日に届ける「最強翌日配送」を展開する強みがある。低価格と品ぞろえで利用者を増やすTemuに対し、国内在庫を基盤とする配送速度と受け取りの確実性は既存勢の優位点となる。Amazonは、国内在庫と高速配送を支える拠点投資を継続している。25年にはデリバリーステーション(DS)6拠点を新設、26年3月には千葉県流山市でも新たな物流拠点を新設すると発表した。
EU通関コストと現地化が次の順位を左右
Temuの欧州での拡大は、2026年に始まった新たな通関負担の影響を含んでいないのも特徴だ。EUは7月1日、域外から届く150ユーロ以下の少額貨物に対し、貨物内の商品カテゴリーごとに3ユーロの暫定関税を導入した。中国などから低価格商品を小口直送するTemuの従来型モデルでは、商品価格に対する通関コストの比率が高まりやすい。ECDBも25年のTemuの順位を、制度変更後の動きを測る基準になると位置づけているようだ。
Temuはこの弱点を補うため、欧州の販売事業者と現地在庫を活用する「ローカル・トゥ・ローカル」を拡大している。DHLとの提携では、将来、欧州売上高の最大80%を同モデルで生み出す方針を示した。現地出荷が広がれば配送日数と通関負担を抑え、首位・2位市場で順位を維持する材料となる。一方、現地在庫の品ぞろえや配送品質でAmazonや国内モールに及ばなければ、大市場での上昇は難しく、関税負担によって現在の上位市場でも順位を落とす可能性がある。
EUの通関コスト上昇を現地化でどこまで吸収できるかが、Temuの成長維持の焦点となる。
emu ranked first by 2025 e-commerce net sales in Croatia, Finland, Hungary and Slovenia, and second in eight other European markets. In Japan, Nielsen ranked Temu eighth among all internet services by annual users, behind Rakuten and Amazon. The EU’s new low-value import duty and Temu’s push toward local fulfillment will determine whether it can defend or improve those positions.




