
【米関税ウォッチ】ポリシリコンに232条関税、12月発動—「最低輸入価格」の新設に注目
米国のトランプ政権が進める品目別関税は、鉄鋼・アルミ、自動車に続き、太陽光・半導体の基幹材料へと対象を広げつつある。日本貿易振興機構(ジェトロ)は10日、ポリシリコンおよび派生品に最低輸入価格(MIP)と派生品向け15%の追加関税を課す大統領布告が署名されたと伝えた。措置は12月4日に発動する。ポリシリコンは越境EC事業者が直接扱う商材ではないが、通関時の書類提出と連動するMIPという新しい執行の仕組みは、今後の品目別関税の運用を占ううえで注目されそうだ。
最低輸入価格を軸にした新たな232条措置
トランプ氏は6日、1962年通商拡大法232条に基づく布告に署名した。ジェトロによると、多結晶シリコンであるポリシリコン本体にはMIPを設定する一方、追加関税の対象からは除く。MIPはポリシリコンが1キログラム21ドル、インゴット・ウエハーが同100ドル、太陽電池が1ワット0.22ドル、モジュールが同0.38ドルとなる。

米国税関・国境警備局(CBP)は輸入申告時に、国内での最初の販売価格がMIP以上であることや、署名日以前の契約に基づくことを示す書類の提出を求める。書類がない場合や価格がMIPを下回る場合は、差額分の特定関税を課す。
派生品にはMIPと別に15%の追加関税を上乗せし、いずれも米東部時間12月4日午前0時1分以降の通関に適用する。
越境EC実務者の注視点は「執行手法の波及」
措置の根拠は、商務省産業安全保障局(BIS)が2025年7月に開始した232条調査にある。追加関税率は英国が10%、日本、韓国、台湾、スイス、リヒテンシュタイン、EUはMFN税率との合計が15%になるよう調整される。米国のポリシリコン輸入は2026年上期に台湾が金額ベースで約5割、ドイツが約3割、日本は8%程度とされる(日本経済新聞)。
越境ECの小口貨物が直接この対象になるわけではない。ただし、通関書類と価格を結びつけて下限を強制するMIPは、従来の従価・従量関税とは異なる執行手法であり、仮に消費財分野へ波及すれば、申告実務やマーケットプレイス上の価格設定に影響が及ぶ可能性がある。






