
リバースロジスティクスで配達不能荷物10万点を再販=Vinted Go
衣料品を中心に欧州最大級の中古品マーケットプレイスを運営するヴィンテッド(本社リトアニア)の物流子会社ヴィンテッド・ゴーで、配達も返送もできなかった荷物を自社サイトへ再出品する試験プログラムを通じ、これまでに10万点超が新たな買い手に渡った。同社のヴィタウタス・アトコチャイティス最高経営責任者(CEO)が28日、業界メディアの取材に対して明らかにした。廃棄が主流だった配達不能荷物の再活用は、越境ECのリバースロジスティクス(逆物流)に新たな選択肢をもたらすと見られる。
廃棄が主流の配達不能荷物
ヴィンテッド・ゴーは2022年に設立された物流専業の子会社で、欧州横断の配送網では日々、数百万点の中古品が取引されているという。大半は無事に届くものの、受け取り放置やラベルの破損、返送の失敗、運用上の不具合などにより、ごく一部が配達も返送もできない状態に陥る。こうした場合、買い手は返金を、売り手は商品が戻らなければ補償を受けられる。
同CEOによると、物流各社はこうした荷物を廃棄するか、業者へ一括売却するのが一般的だ。同社は2025年11月、これらを中古品として自社サイトに再出品する試験プログラム「Rescued Value」を始めた。
10カ国で再出品、収益で運用費を賄う
対象商品は専用アカウントを通じてヴィンテッド上に出品され、フランス、オランダ、ベルギー、イタリア、スペイン、ポルトガル、アイルランド、ドイツ、オーストリア、ルクセンブルクの10カ国の利用者が購入できる。同社は開始から10万点超が再び所有者を見つけた。
CEOは、回収から処理、再販売に至る再商品化は従来の廃棄より工程が複雑でコストも高いと指摘し、専用アカウントの売上が運用費を賄う構図だと説明する。
リセール(中古品再販)アナリストのパメラ・タッカー氏も「未配達パッケージ10万個に“第二の人生”を与えた」と称賛した。
商品の一部は慈善団体へ寄付されており、寄付品を大規模に販売できる仕組みの開発も進む。ただし、同社は確実な配達と返送が引き続き最優先であり、本取り組みが影響するのは全体量のごく一部にとどまるとしている。
リバースロジスティクスでも国内は廃棄が主流
翻って日本では、届かなかった荷物を配送会社が自ら売り直す仕組みはほとんど見られない。
メルカリやヤフオクなどの個人間取引(C2C)サービスでは、取引不成立や返送時の再出品は出品者個人の手作業に委ねられ、配送側が不達品をまとめて再流通させる機能は持たない。受取人にも差出人にも渡せない荷物は、一定期間の保管を経て配送会社に廃棄される場合があるのが実情だ。
返品や回収を担うリバースロジスティクス(静脈物流)への関心は高まっており、調査会社アイマークによれば、輸送・保管・返金処理などを含む国内の逆物流サービス市場は2024年に455億ドル(約7兆4000億円)に達した。
もっとも、廃棄に代わる再流通(リコマース)や循環型の取り組み自体は着実に広がっている。無印良品は2015年から、店頭で回収した衣料品を染め直して再販するリユース事業「ReMUJI」を展開。メルカリは2026年7月、検査や真贋鑑定を経た整備済み品を扱うリユース専用EC「エムデパートメント」を開始し、専門事業者88社が参画した。
国内リユース市場は15年連続で拡大し、2024年には3兆2628億円に達している。ただしこれらは主に返品・中古品や自社回収品の再販であり、配送網の運営主体が「配達できなかった荷物」そのものを自社サイトへ再出品するヴィンテッド・ゴー型とは性格が異なる。
同社の特徴は、C2Cの配送網と販売サイトを一社で抱える垂直統合にあり、届かなかった荷物をそのまま二次流通(リユース・再販)に載せられる点だ。国境を越える取引では不達品や返品の処理費が利益を圧迫しやすく、廃棄に代わる再販ルートは、日本の越境EC事業者にとっても在庫損失を抑える選択肢となり得る。







