
仏とサウジ、パリ近郊にドラゴンボールZ施設計画—越境ECも欧州・中東熱か
フランスとサウジアラビアは24日、パリ近郊に人気アニメ『ドラゴンボールZ』をテーマとする娯楽施設を建設すると発表した。総投資額は約60億ユーロ(1.1兆円)にのぼる。開業時期は未定。国家規模の資金が日本の知的財産(IP)に向かう動きは、キャラクター商品などを扱う海外向け通販の事業者にとって、開業を待たずに欧州・中東で足場を築く好機ともなる。
仏サウジ、日本IPに60億ユーロ―開業時期は未定
フランス大統領府は、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子のパリ訪問に合わせ、パリ北西のセルジー・ポントワーズ近郊に3つの娯楽施設を建設することで両国が合意したと明らかにした。うち1施設が『ドラゴンボールZ』をテーマとする。事業を主導するのは、サウジの政府系ファンド、パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)傘下のキディヤ・インベストメント(Qiddiya)。
マクロン仏大統領は交流サイト(SNS)で、雇用創出は約2万2000人にのぼり、ディズニーランド・パリ以来の規模になるとの見方を示した。着工や開業の時期は明らかにされておらず、詳細は今後詰めるとしている。キディヤは2024年、サウジの首都リヤド近郊でも世界初となるドラゴンボールのテーマパーク建設計画を公表しており、今回のパリ近郊案件はこれに続く。
アニメ海外売上、国内を超える=伸びる欧州・中東
背景には、日本の知的財産(IP)に対する海外需要の高まりがある。日本動画協会がまとめた業界推計(アニメ産業レポート2025)によると、2024年の広義のアニメ産業市場は3兆8407億円と過去最高を更新し、このうち海外市場は2兆1702億円と前年比26%増え、国内市場を上回った。同協会は、動画配信や商品化を含む周辺ビジネスの拡大が全体をけん引したとしている(数値は業界団体による推計値)。
ドラゴンボールは、鳥山明氏が1984年に連載を始めた作品で、テレビアニメや映画、ゲーム、キャラクター商品を通じて世界的に浸透してきた。中東でも日本アニメの視聴経験者は多いとされ、欧州や湾岸諸国は、これまで北米・アジアに比べ日本の事業者の関与が相対的に薄かった市場でもある。
開業を待たずに動く=越境EC事業者の先手
国家規模の投資が日本IPに向かうという今回の報道は、キャラクター商品や玩具、フィギュア、トレーディングカード、ホビー関連といった、日本の事業者が強みを持つ領域の需要が、欧州や中東で厚みを増す可能性を示す。開業時期は未定で、建設に数年を要する点は、裏を返せば準備の時間が十分にあることを意味する。需要が顕在化してから動くのではなく、話題が段階的に高まる期間に地歩を固めた事業者が優位に立つだろう。
まず着手できるのは、現地言語での商品ページとコンテンツの整備だ。フランス語やアラビア語での検索需要が本格化する前に情報を蓄積しておけば、広告費が高騰しがちな開業前後に、自然検索や生成AIの回答を経由した流入を得やすくなる。
次に、正規の調達ルートの確保である。公式グッズやライセンス商品は権利者(東映アニメーション、集英社など)の管理下にあり、模倣品の排除はサウジのSABER制度が掲げる狙いにも含まれる。正規流通品を扱える契約や、日本国内限定品・中古品など合法的に再販できる商材の仕入れ網は、構築に数カ月を要するため早期の着手が要る。
規制対応も前倒しが要る。EUでは一般製品安全規則(GPSR、2024年12月施行)により、消費者向け製品にEU域内の「責任者」を置くことが義務づけられ、玩具にはCEマーキングや安全基準への適合も求められる。サウジではサウジ標準化・度量衡・品質機構(SASO)の適合証明(SABER)が通関の前提となり、現地の輸入者や認証機関の関与が要る。付加価値税は15%で、表示のアラビア語対応も欠かせない。
決済面では、湾岸で普及するmadaやApple Pay、STC Pay、後払い決済(BNPL)のTabby・Tamaraが事実上の標準で、カード決済のみの構成は購入の取りこぼしが大きい。ゲートウェイの開設審査にも日数がかかる。いずれも開業を待たずに整えられる領域であり、今回の合意はその準備を始める合図と位置づけられる。
France and Saudi Arabia announced the construction of a popular anime-themed entertainment facility based on “Dragon Ball Z” near Paris, with a total investment of approximately €6 billion. This initiative highlights the growing international demand for Japanese intellectual property, providing opportunities for businesses in Europe and the Middle East to establish a foothold before the facility’s opening.




