
日本曹達、医薬品添加剤HPCを増産=サプリ需要増で海外販路強化、世界シェア4割
サプリメントや医薬品の錠剤に使う日本発の添加剤で、世界的に需要が高まっている。同添加剤で世界シェア約4割を持つ日本曹達(ニホンソーダ)はこのほど、新潟県上越市の二本木工場に100億円を投じ、生産能力を1.5倍に引き上げた。日本経済新聞が15日、報じた。新興国の需要増を背景に海外販路の強化も進める。
医薬品添加剤HPCは錠剤の結合剤、サプリにも採用
日本曹達が増産するのは、医薬品添加剤の「ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)」。パルプ由来のセルロースに酸化プロピレンを反応させて得られる誘導体で、水や有機溶媒に溶ける数少ない添加剤とされる。粉末状の有効成分を錠剤や顆粒剤に成形する際の結合剤として使われ、錠剤の硬度を高めたり、有効成分を徐々に放出する徐放性を持たせたりする。用途は医薬品にとどまらない。
同社は健康食品錠剤などの食品分野向けにも展開しており、サプリメントの成形材料としての採用も広がっている。越境ECで扱われるサプリメントや健康食品の錠剤にも、こうした添加剤が使われている。二本木工場では敷地内に新たな製造棟を設け、2026年度上期の営業運転開始を予定する。多様な銘柄を効率的に生産できる体制を整える。
新興国の需要増で供給が逼迫、品質が参入障壁に
需要増の背景には、先進国での健康志向や予防医学への関心の高まりと、中国やインドなど新興国での生活水準の向上に伴う医薬品需要の拡大がある。医薬品グレードの添加剤は、日本薬局方や米国薬局方、欧州薬局方などの基準に対応し、GMP(適正製造規範)管理下で製造する必要がある。
日本曹達はこの原料を1969年に日本で発売し、新潟の複数の製造ラインで供給してきた。規格対応と品質管理の負担が大きいため、医薬品向けの供給元は限られ、同社と米アシュランドが主要な供給企業とされる。同社は2021年にも約50億円を投じて能力を増強していたが、需要の伸びに供給が追いつかない状況が続いていた。
ドイツに技術支援拠点、欧米・インドへ販路拡大
増産と並行して、日本曹達は海外での技術支援と販売の体制を広げている。2025年2月には、ドイツの連結子会社内にセルローステクニカルアプリケーションセンター・ヨーロッパ(NISSO CTAC EU)を開設した。欧州に加え、当面は米国やインドも対象とし、製薬・食品メーカーの求めに応じて最適な銘柄を提案し、用途開発を支援する拠点と位置づける。
HPCは粘度や粒径の異なる複数の銘柄があり、顧客の製剤ごとに使い分けられる。サプリメントや医薬品を海外で扱う越境EC事業者にとって、こうした日本発の基幹材料の供給網は、原料調達の安定性にかかわる。日本曹達は同拠点を、欧州・米国・インド市場での普及活動の拠点と位置づけている。
Nippon Soda is investing ¥10 billion to boost output of the pharmaceutical excipient HPC (hydroxypropyl cellulose) at its Niigata plant by 1.5 times, with commercial operation slated for the first half of fiscal 2026. HPC is a binder used to form tablets for both medicines and supplements, and demand is rising in emerging markets such as China and India. The company—reportedly holding roughly a 40% global share—is also strengthening overseas sales and technical support, including a German hub covering Europe, the US and India.



