© European Union 2026 - Source : EP

欧州のEC、成長5%に鈍化-PPWR規制が域外セラーを包囲、中国系にも重荷

Published On: 2026-09-29|Last Updated: 2026-09-29|Tags: , |Categories: ニュース|By |

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欧州の事業者団体Ecommerce EuropeとEuroCommerceはこのほど、共同で「European E-commerce Report 2026」を公表した。2025年の欧州B2C (Business to Consumer)EC市場は前年比7%増の9,110億ユーロとなったが、伸び率は前年から1ポイント縮小し、2026年通期はさらに鈍化する見通しとなった。東欧の急成長にも急ブレーキがかかっている。

欧州EC、2025年は7%増も鈍化局面へ

同報告書によると、2025年の欧州(38カ国)B2C EC売上高は9,110億ユーロで、物価上昇を除いた実質成長率は4%だった。2026年通期は名目5%、実質3%への鈍化が見込まれる。

地域別では、欧州最大市場である西欧(全体の57%)の名目成長率が5%と全地域中最も低く、北欧6%、中欧8%と続いた。

B2CのEC成長率は調整段階に入ったか。

東欧の急成長にブレーキ、実質マイナスの見通しも

2025年に突出していたのが南欧(11%)と東欧(14%)だが、東欧は2024年の18%、2025年の14%から2026年は5%へ急減速する見通しだ。物価上昇を勘案した実質ベースでは、東欧は1%の減少に転じるとみられている。

PPWRとPID義務化、域外セラーへの包囲網

EUは域外セラーとの公平な競争条件(レベル・プレイング・フィールド)確立を掲げ、規制を段階的に強化している。包装・包装廃棄物規則(PPWR)は2025年2月に発効し、2026年8月から要件ごとに順次適用が始まった。EU域内で梱包済み商品を販売する事業者は「生産者」とみなされ、販売先の国ごとに拡大生産者責任(EPR)登録が求められる。

アマゾンやAliExpress、Temu、SHEINなど主要プラットフォームは、未登録の出品について取り下げや販売制限に踏み込み始めている。加えてEUは同年7月1日付で150ユーロの少額免税(デミニミス)を撤廃し、11月1日からは輸入額を問わず、全てのB2C貨物に製品識別コード(PID)の提出を義務付ける。

中国系ECへの圧力と日本発事業者にも対応コストの重荷

報告書では、複数国の事業者団体が中国発の低価格プラットフォームを名指しし、品質面の課題を抱えながらも規制対応の遅れを突いてシェアを拡大していると指摘した。ドイツの団体は、中国発プラットフォームが品質面の課題を抱えつつも市場シェアを伸ばしている実態を挙げ、ルクセンブルクの団体は物価高のなかで消費者が低価格プラットフォームへ流れている状況を指摘する。

一方でベルギーやドイツの団体は、関税免除の撤廃だけでは公平な競争条件は実現せず、加盟国間で執行体制がばらつけば実効性を欠くと釘を刺す。こうした対応義務は中国系に限らず日本発を含む全ての域外セラーに及ぶため、コンプライアンス費用の増加は避けられない。他方、低価格・低コンプライアンスを武器にしてきたプラットフォームへの締め付けが実際に強まれば、越境ECの価格競争の構図が変わる可能性もある。

元Googleでデジタルコマースコンサル企業創業者のサティアルス・プリヤダルシ氏は、香港上場後初となるSHEINの決算内容から、規制強化が実際の収益に及ぼす影響を指摘した。

同氏の投稿によると、SHEINの欧州売上高はEUの小包課金を見据えた値上げの影響で前年比13.9%減の37億7,000万ドルにとどまった一方、グループ全体の売上高は0.9%増の110億8,000万ドルで、純利益率は前年の6.2%から2.1%へ低下したという。同氏は、こうした手数料負担がもはや一時的な打撃ではなく「常設コスト」になったと分析している。

もっとも、値上げによる負担が特定のプラットフォームの収益を圧迫しているというのは、あくまで個社の決算に表れた影響にすぎない。域外セラー全体の競争条件が実際に是正されるかどうかは別問題であり、各加盟国の税関・執行体制の強化にかかっているとの指摘が相次いでいる。

Ecommerce Europe and EuroCommerce’s September report shows European B2C e-commerce turnover rose 7% to €911 billion in 2025, with growth set to slow further in 2026. Eastern Europe’s growth is stalling sharply, from 18% in 2024 to a forecast 5%. The EU is meanwhile tightening rules aimed at non-EU sellers: the PPWR now requires packaging-related producer registration, while mandatory Product Identifiers take effect in November after July’s abolition of the €150 duty-free threshold. Associations flagged China-origin platforms gaining share via compliance gaps, though others warned enforcement, not rules alone, will decide whether the playing field truly levels—affecting Japanese sellers too.

この記事を書いた人

森 茂樹

元Web3ニュースメディア編集長。日本とオーストラリアで20年以上にわたり、記者・編集者、翻訳者、Webプロデューサーとして活動。日本ではエンターテインメント「ザテレビジョン」(KADOKAWA)ほか、豪州では「日豪プレス」の記者・編集者として従事した。

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