
古物商許可、5年連続増の61万件=越境ECの追い風で参入拡大
警察庁がまとめた「令和7年中における古物営業・質屋営業の概況」によると、令和7年末の古物商の許可件数は61万4118件となり、前年から4万2172件増えた。制度が変わった令和2年以降、5年連続の増加となった。中古品を仕入れて販売する事業者の裾野が広がっており、越境EC(海外向け販売)の拡大が背景にあるとみられる。
古物商許可、制度変更後5年で21万件増
令和7年の古物商許可は61万4118件で、前年比4万2172件の増加だった。許可制度が見直された令和2年の39万5526件と比べると、5年間で21万8592件、約1.6倍に膨らんだ。
ただし、これより古い年との単純比較はできない。令和2年4月施行の古物営業法改正で、許可が「営業所ごと」から「主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会による一許可」へと改められ、複数都道府県で営業する事業者の重複計上が解消されたためだ。改正前の平成30年は78万件台だが、数え方の異なる数字である。
一方、古物市場主の届け出は1076件で前年から2件減り、ほぼ横ばいだった。古物商間の売買を仲介する古物競りあっせん業(オークションサイト運営者)の届け出は170件と7件増え、令和2年の106件から着実に伸びている。質屋営業の許可は2387件で41件減り、減少が続く。伝統的な質・市場型から、個人を含む「仕入れて売る」古物商型へと重心が移る構図が読み取れる。

円安と海外需要、越境ECが仕入れ意欲を刺激
古物商許可は国内の統計だが、その増加は中古品を海外に売る事業者が広がっている表れといえる。日本の中古品は海外で評価が高く、越境ECの主力商材の1つだからだ。
背景には、日本商品への海外需要の拡大がある。経済産業省が2025年8月に公表した電子商取引の市場調査によると、24年に米国の消費者が日本の事業者から越境ECで購入した額は3兆1397億円(前年比6.0%増)、中国の消費者からは2兆6372億円(同8.5%増)に達し、いずれも増加が続く。
こうした需要の受け皿として、日本の中古品の評価は高い。日本発の中古品に対する海外需要の高まりがある。イーベイ・ジャパンが8月に公表した「Used in Japan Report」によると、25年にeBayへ出品した日本の事業者の73%がリユース品を扱い、その数は23年から25年にかけて年平均19%のペースで増えた。中古品は日本の出品者にとって主要な取扱商材になりつつある。
カメラや時計、アニメ・トレーディングカードなど、状態の良さや希少性が海外の収集家に評価されている。もっとも、いずれもeBayの内部データに基づく数値であり、第三者による検証を経ていないことには留意したい。
フリマアプリなどで仕入れた中古品を海外に転売する事業モデルでは、許可の取得が前提となる。無許可営業には罰則が科される。副業や個人の小規模事業として越境転売に参入する動きが、件数の押し上げに寄与しているとの見方もある。
規制強化の動きも、順法対応が課題に
古物営業をめぐっては、制度面の見直しも相次ぐ。令和7年10月施行の古物営業法施行規則改正では、金属盗対策として、電線やエアコンの室外機、電気温水器のヒートポンプなどについて、取引金額にかかわらず相手方の本人確認と帳簿記載が義務づけられた。
免税制度との関係でも監視が強まる。令和6年度税制改正に伴い輸出物品販売場(免税店)制度の不正利用対策が強化され、国税庁は「不正な免税110番」の窓口を設けた。
免税で仕入れた品の転売が問題視されており、越境ECの仕入れ実務にも影響しうる。手続き面では、仮設店舗の届け出などが令和7年12月にデジタル庁の「e-Gov電子申請」へ移行した。
令和7年の行政処分は874件(取り消し11件、営業停止8件、指示855件)、古物営業法違反の検挙は19件だった。件数自体は多くないが、参入者の増加に伴い、本人確認や帳簿管理といった基本的な順法対応の重要性が増している。
【Note】中古品を海外に売る際の許可の要否
- 個人の私物を単発で売る場合は原則不要。反復・継続して「仕入れて売る」なら許可が必要。
- 仕入れ時は相手方の本人確認と帳簿記載が求められる。品目により1万円未満でも確認が要る場合がある。
- ネット販売は特定商取引法上の「通信販売」に該当し、事業者情報などの表示義務が生じる。






